心臓移植待機患者700人超…毎年100人増、高まるハードル

心臓移植を待つ人が、今夏に700人を超えた。日本臓器移植ネットワークによると、近年は毎年約100人ずつ増えている。脳死の人からの臓器移植は増えてきたものの、昨年は1年間で76件にとどまり、待機者の増加に追いついていない現状がある。

 東京都小金井市の上原 旺典おうすけ ちゃん(3)は、重い心臓病の拡張型心筋症を患っており、米国で心臓移植手術を受けることにした。9月28日に都内で記者会見を開いた両親らは、移植の機会が少ない国内の現状や旺典ちゃんへの支援を訴えた。

 旺典ちゃんは生後9か月で拡張型心筋症が判明。移植以外に根本的な治療はなく、1歳3か月頃、心臓のポンプの役割をする補助人工心臓を着けた。移植までの「つなぎ」の処置だが、約2年たっても国内で移植のめどが立たないため、渡航を決めた。

 ただ、移植には原則、自国民から提供された臓器を使うことが、世界保健機関(WHO)の指針などに盛り込まれている。移植待機者はどの国も多く、費用も旺典ちゃんの場合、3億5000万円を見込む。海外で移植を行うハードルは以前と比べて高い。

 補助人工心臓は、機器の故障や細菌感染などの可能性がある。旺典ちゃんは病室からほとんど出られないが、普段はアニメの曲に合わせて踊ったり、いたずらしたりする普通の子だという。母親の歩さんは「家族で食卓を囲んだり、一緒に寝たりして、普通の生活をさせてあげたい」と語った。

 補助人工心臓の手術を担当した国立成育医療研究センター心臓血管外科の金子幸裕さんは、「亡くなるかもしれないという心配が常にある。この病気や心臓移植の現状を多くの人に知ってもらいたい」と話している。

2018年10月9日 yomiDr. より