「高齢者OK」賃貸 低迷…一人暮らし支援 登録目標の2%

 一人暮らしの高齢者らの入居を拒まない賃貸住宅を増やすため、国土交通省が昨年10月に始めた「住宅セーフティネット制度」が低迷している。同省は2020年度末までに17万5000戸を登録する目標を掲げるが、開始1年での登録戸数は約3800戸と目標の2%どまり。同省は煩雑な登録手続きを簡素化するなど対策に乗り出した。

 単身高齢者や低所得者、外国人らは、孤独死や家賃滞納を心配する不動産会社や家主に入居を拒まれるケースが多い。一方、少子高齢化で空き家やアパートの空き室は増えている。こうした人たちが住宅を借りやすくするため、同省は、入居を拒まない物件情報を登録し、専用のホームページで紹介する制度を始めた。

 登録された住宅の家主には、国と自治体が改修費を最大200万円補助するほか、家主が家賃を減額すれば1戸あたり、毎月最大4万円まで減額分を補助する。さらに、一人暮らしが不安な入居者を見守る団体の運営を補助する仕組みも取り入れた。

 しかし開始1年での登録戸数は全国で3834戸(10月26日現在)にとどまる。その大半が大阪府(2712戸)で、次に多いのが東京都の267戸。一方、茨城や栃木、三重など14県では登録戸数がゼロだった。ある自治体担当者は「家主側からの問い合わせすらない」と話す。

 同省は、制度が知られていないことに加えて、登録手続きが煩雑で、手数料を求める自治体もあることが背景にあると見ている。また、改修費や家賃の補助を行うかどうかは自治体任せで、今年度、いずれかの補助を行うのは30自治体にとどまる。

 使い勝手を良くするため、同省は7月に登録手続きを簡素化。これを受けて手数料を廃止した自治体もある。今後、各地で賃貸業者向けの説明会を開き、PRを強化する方針だ。日本賃貸住宅管理協会(東京)は、「家主側の制度への認知度が低いが、空き家の活用は大きな課題。登録のメリットをアピールして増やしていきたい」としている。

 ■住宅セーフティネット制度 昨年10月に改正された住宅セーフティネット法に基づく仕組み。家主が、高齢者らの受け入れを拒まない賃貸住宅として都道府県などに申請。耐震性や部屋の広さなどの基準を満たせば物件が登録される。拒まない対象者を、高齢者のみ、障害者のみ、などと限定することもできる。
ヨミドクター(読売新聞)2018年10月27日17時50分より