ニュース

ホームニュース薬剤耐性(AMR)対策で私たちができること

コラム薬剤耐性(AMR)対策で私たちができること

2022.05.18

前回は、薬剤耐性(AMR:Antimicrobial Resistance)がすでに深刻な問題になっていることをお伝えしました。

世界ではもちろん、日本においても2016年から「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」にもとづいて、薬剤耐性(AMR)対策が進められています。
「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」に記載されている目標の1つ目は「国民の薬剤耐性に関する知識や理解を深め、専門職等への教育・研修を推進する」というものです。

私見ですが、6年前に策定された目標にしては『国民の薬剤耐性に関する知識や理解』はまだそれほど深まっていないように思えます。

新型コロナウイルスの大流行によって感染症の怖さと日常生活への影響を実感した今、将来の感染症リスクを少しでも回避するためにも、薬剤耐性について知ることは非常に重要だと思います。

薬剤耐性が起こる状況

前回の記事でも触れましたが、薬剤耐性(AMR)とは、感染症の原因となる細菌などが、治療薬に対して抵抗力や免疫力を持つようになり、その薬が効かなくなることをいいます。

細菌にとって治療薬(抗菌薬)は自分たちを破壊しようとする毒であり、細菌は様々な方法でこの毒(抗菌薬)から身を守ろうとします。ですが細菌が抗菌薬から身を守るためには、自分の性質を一部変化させたりする必要があって、そのことにエネルギーを消費してしまいます。
そこまでして抗菌薬への耐性を得ようとする細菌は少数派で、人間の体に対してすぐに病気を引き起こすわけではないようです。

そもそも人間の体には数多くの細菌が存在していて、バランスを保ちつつ集団を形成しています。食生活の乱れなど何らかの要因でそのバランスが崩れることで、病気などのトラブルが引き起こされるのです。
この健康な細菌のバランスが崩れる要因の1つが、抗菌薬の服用です。抗菌薬は多数派の細菌に効くので、大多数の細菌がやられていなくなると、耐性菌(抗菌薬への耐性を得ている少数派の細菌)が増殖しやすい環境が作られます。

抗菌薬の服用では、その効果と量が重要だといわれています。
幅広い細菌に効く抗菌薬は、ときに耐性菌の活躍を抑制してくれる必要な菌まで殺してしまいます。
また、抗菌薬を必要量以下の服用でやめてしまうことで、体内の薬の濃度が低くなり、細菌は完全に死滅せず徐々に抗菌薬に慣れていきます。この状態が続くと、細菌が耐性を獲得しやすい環境を作り出してしまうのだそうです。

薬剤耐性(AMR)拡大防止のために私たちができること

薬剤耐性の拡大を防ぐために私たちができることは、抗菌薬を不適切に使用しないということです。

例えば、普通の風邪の原因はほとんどがウイルスによるものです。抗菌薬はウイルスには効きませんので服用しても意味がないだけでなく、副作用や耐性菌を生み出すことにもつながります。
不必要な抗菌薬の服用はすべきではありません。

また処方された抗菌薬を自己判断で減らすなど、医師や薬剤師の指示通りに服用しないと、薬の効果が十分に期待できないことに加えて、耐性菌が出現するリスクを高めてしまいます。
症状が良くなったからといって服用をやめてしまったりせず、処方された抗菌薬は指示通りの期間と量と回数を守って飲み切ることが大切です。

抗菌薬を残しておいて、似たような症状が出たときに使おうと考えていても、その薬が同じように効くとは限りません。
服用することで副作業が出たり耐性菌を増やす原因になりかねませんので、抗菌薬はとっておかないようにしましょう。

基本的な感染対策を継続することが大切

抗菌薬を適切に使用することは重要ですが、そもそも抗菌薬を飲む必要がない状況、つまり感染症にならなければそれに越したことはありません。

新型コロナウイルスの流行によって、咳エチケットや手洗いなど基本的な感染対策についての知識と理解はかなり普及したように思えます。いずれコロナが収束した後も、必要な感染対策を継続して行い、感染症にならないようにすることが薬剤耐性(AMR)の防止につながるといえます。

薬剤耐性(AMR)の拡大で、多くの人が亡くなる未来が来ることのないよう、私たちにできることを実践していきましょう。

出典:政府広報オンライン(抗菌薬が効かない「薬剤耐性(AMR)」が拡大!一人ひとりができることは?

資金繰りのご相談や経営に関することなど
お気軽にお問い合わせください。

06-6202-8823 (平日8:45~17:45) フォームからのお問い合わせはこちら
ページトップへ