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News月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が、中小企業も50%以上に

2023.06.07

当サイトでも度々ご紹介しておりますが、2018年に公布され2019年から順次施行されている『働き方改革関連法』によって、労働に関するさまざまな法律の改正が行われています。

その一環として、2023年4月から中小企業においても、月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が50%以上に引き上げられました。

この割増賃金率は、すでに2010年4月の労働基準法改正によって定められていましたが、その時点で適用されるのは大企業のみで、中小企業は経済的負担を考慮して猶予措置が取られていました。

働き方改革関連法の成立によりこの猶予措置が廃止されたため、現在は中小企業でも60時間を超える時間外労働に対して、割増率50%以上の割増賃金を支払う義務が生じます。

割増賃金の計算方法

ここでお話している時間外労働とは、法定労働時間(原則として1日8時間、1週40時間以内)を超える労働を指します。
月60時間以内の時間外労働に対する割増賃金率はこれまで通り25%で、60時間を超える分が50%となるため、例えば時給換算2,000円の従業員が時間外労働を70時間した場合の割増賃金は下記の通りです。

□60時間以下の割増賃金
60時間×2,000円×0.25(25%)=30,000円

□60時間超の割増賃金
10時間×2,000円×0.50(50%)=10,000円

□割増賃金合計
30,000円+10,000円=40,000円

深夜労働・休日労働の取り扱い

労働基準法では、原則として22時から翌5時までの労働を深夜労働と規定されています。
この時間帯の労働に対しては、25%以上の割増賃金を支払う必要があり、それが月60時間を超える労働時間であれば、それぞれの割増賃金率が合算され、結果として75%以上となります。

月60時間の時間外労働時間の算定には、法定休日に行った労働時間は含まれません。
法定休日とは労働基準法で定められている休日のことで、労働者に対して週に1日以上、または4週間を通じて4日以上与えられるものです。
土日を休日とする週休2日制で、土曜日を法定休日としている企業の場合は、日曜日の休日労働分が月の時間外労働時間に加算されます。
この場合の土曜日の労働については、法定休日労働の割増賃金率(35%)で計算されます。

「代替休暇」の付与について

月60時間を超える法定外労働を行った労働者の健康を確保するため、引き上げ分の割増賃金を支払うかわりに代替休暇(有給の休暇)を付与することもできます。

割増賃金率引き上げに対応するために、企業ができること

この割増賃金率引き上げの目的は、従業員の長時間にわたる時間外労働を抑制することにあります。
これまでと同じような働き方を続けていると企業にとっては残業代が多くかかってくるため、労働時間の見直しや生産性の向上などの対策が必要です。

それを支援する制度「働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)」もあり、2023年度の交付申請について、受付が開始されています。

このような制度を活用しながら、労働環境の改善に向けた取り組みを行いましょう。

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