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コラム厚生労働省 助成金シリーズ「人材確保等支援助成金(介護福祉機器助成コース)」編

2023.07.26

前回の記事では、厚生労働省の雇用関係助成金の利用にはメリットとデメリットがあることをお伝えしました。
助成金を利用するかどうかは、受給の対価として費やす手間とコストとのバランスを考えた上で決めるのが良さそうですが、助成金が受けられるかどうかに関わらず、良い人材を採用したり、長く働いてもらうために職場環境を整備することは、すべての事業主にとって必要な取り組みではないでしょうか。

そんなわけで今回は予告通り、労働環境向上を目指されている介護事業者様が、ぜひ活用すべき「人材確保等支援助成金(介護福祉機器助成コース)」について、詳しくみていきたいと思います。

人材確保等支援助成金(介護福祉機器助成コース)とは

厚生労働省のサイトによると、この助成金は「介護事業主が介護福祉機器の導入等を通じて、離職率の低下に取り組んだ場合に助成対象となります。」とあります。

介護職は、利用者を抱えて移乗(ベッドから車椅子へ、車椅子から便座等へ乗り移ること)介助や体位変換をする際など、中腰での作業が多く、腰に負担がかかりやすい職業です。
腰痛に悩む介護職員も多いと言われており、あまりに酷くなると介護の仕事を続けることが困難になり、退職に至るケースもあります。

そのような事態を避けるために、腰痛などの身体的な負担を介護福祉機器の導入によって軽減させ、その結果、従業員の離職率を低下させることができた取り組みに対して支払われるのが、「人材確保等支援助成金(介護福祉機器助成コース)」です。

対象となる介護福祉機器

この助成金の支給対象となる介護福祉機器は、介護職員の身体的負担軽減の効果が高く、労働環境の改善に役立つ以下のものとされています。ただし、一品の価格が10万円未満のものは対象外です。

  • 移動・昇降用リフト(立位補助器、非装着型移乗介助機器を含む)
  • 装着型移乗介助機器
  • 体位変換支援機器(エアマット、ベッドのうち、体位変換機能を有するものに限る)
  • 特殊浴槽
  • その他身体的負担軽減の効果が特に高いと考えられるもの

助成金の受給要件

受給要件として、介護事業主が実施する必要があることは以下の通りです。

導入・運用計画の認定を受ける

導入を予定している介護福祉機器の内容等を記載した「導入・運用計画書」を作成し、対象経費内訳書や導入する介護福祉機器が確認できるカタログ、価格表、見積書等など、その他いくつかの書類を添えて、管轄の労働局長に提出します。
提出した書類に不備がなく適正であると判断されれば、導入・運用計画は受理、認定されます。
もし書類等の記載事項等に不備があった場合は、指定された期間内に補正する必要があります。

計画開始日は、介護福祉機器を最初に導入する月の初日となります。
導入・運用計画書の提出期限は、計画開始日の6か月前の日から1か月前の日の前日までです。
例えば計画開始日が2023年8月1日の場合、2023年2月1日から2023年6月30日までに計画書を提出しなければなりません。

天災等のやむを得ない理由で提出期限内に提出できなかった場合には、提出できなかった理由を添えて提出することができますが、その場合でも計画開始日の前日までには提出する必要があります。

介護福祉機器を導入する

認定を受けた計画通り、機器を導入し、適切に運用を行います。
計画期間は、3ヶ月以上1年以内です。その間、介護職員の身体的負担軽減や労働環境の改善に努め、離職率の低下に繋げます。

計画実施の結果、離職率を低下させること

導入・運用計画を提出する前1年間の離職率(計画時離職率)から、計画期間最終日の翌日から12か月間の離職率(評価時離職率)が、目標値以上に低下していれば、助成を受けられます。
評価時離職率の算定期間終了後、2か月以内に支給申請を行います。

尚、上記以外にも雇用関係助成金共通の要件を満たしている必要があります。

目標値と離職率の計算方法

低下させる離職率ポイント(目標値)は、下表の通り、対象事業所における雇用保険一般被保険者数に応じて変わります。

対象事業所における
雇用保険一般被保険者の人数規模区分
1 ~ 9人 10 ~ 29人 30 ~ 99人 100 ~ 299人 300人以上
低下させる離職率ポイント(目標値) 15%ポイント 10%ポイント 7%ポイント 5%ポイント 3%ポイント

この目標値を達成することに加えて、評価時離職率が30%以下である必要があります。
例えば計画時離職率40%、50人規模の事業所が、目標値7%ポイントを達成したとしても評価時離職率は33%ですので、支給の対象からは外れます。

また、新規の創業等で計画時離職率を算出できない場合や、計画時離職率から目標値を引いた値が0%を下回る場合は、評価時離職率を0.0%にすることを目標にします。

ここで、離職率の算出方法を確認しておきましょう。

離職率(%)= 所定の期間における離職による雇用保険一般被保険者資格喪失者数所定の期間の初日における雇用保険一般被保険者数 × 100

その事業者の主たる事業が介護事業以外の場合は、計算式の中の「雇用保険一般被保険者数」は、雇用保険一般被保険者資格のある介護労働者数とします。

また、介護労働者の全員が雇用保険一般被保険者ではない場合には、雇用保険一般被保険者資格がない介護労働者数を計上します。

助成金の受給額

人材確保等支援助成金(介護福祉機器助成コース)の支給額は、150万円を上限として、下記の助成対象費用の合計額の20%(賃金要件を満たした場合は35%)です。

  • 介護福祉機器の導入費用(利子を含む)
  • 保守契約費
  • 機器の使用を徹底させるための研修

まとめ

人材確保等支援助成金(介護福祉機器助成コース)の受給にはいくつかの要件があり、それなりに時間と労力がかかるものです。
とは言え、介護職員の身体的負担の軽減や労働環境の改善は、介護事業者にとって必ず取り組むべきことであるとも言えます。

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