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コラム健康保険の種類と保険料の違いなど

2023.11.08

前回に引き続き、「国民皆保険制度」が抱える課題について考えるためにも、まずは「健康保険を知る」ことをテーマにお送りします。今回は、健康保険の種類とそれぞれの保険料について見ていきたいと思います。

日本では誰もが加入している健康保険ですが、自分がどの健康保険に加入しているのか気にしたことがないという人や、そもそも健康保険に種類があることを知らない人もいるのではないでしょうか。

健康保険は、年齢や働き方によって加入できるものが異なっていて、大きく分類すると下記の3つに分かれます。

  1. 被用者保険
  2. 国民健康保険
  3. 後期高齢者医療制度

それぞれについて、解説していきます。

1. 被用者保険

「被用者保険」とは企業に勤めている従業員など、組織に雇用されている人を対象とする保険のことで、会社員や公務員、その家族(被扶養者)が加入するものです。「職域保険」ともいいます。

被用者保険はさらに「健康保険」と呼ばれる一般被用者保険と、特定被用者保険の2つに分かれています。

健康保険(一般被用者保険)

健康保険(一般被用者保険)は、民間企業に勤めている人とその家族が加入する医療保険です。
健康保険には「組合健保」と「協会けんぽ」があります。

組合健保

700人以上の従業員が働いている企業や、同じ業種のいくつかの企業で従業員数が合計3,000人以上になる場合は、厚生労働大臣の認可を得て独自の健康保険組合を設立することができます。
これを組合健保といいます。正式名称は「組合管掌健康保険」です。

厚生労働省の資料によると、2020年3月末時点で保険者(健康保険事業の運営主体)数は1,388、加入者数は2,884万人(被保険者1,635万人、被扶養者1,249万人)となっています。

組合健保の保険料率は、それぞれの健康保険組合で自主的に設定できます。また従業員の保険料負担割合も、労使50%ずつの折半より低くすることができるなど、より充実した福利厚生を提供することも可能です。

ただ、近年では財政の悪化が原因で解散する健康保険組合も出てきています。

協会けんぽ

協会けんぽは、正式名称を「全国健康保険協会管掌健康保険」といい、主に中小企業に勤めている人とその家族が加入する健康保険です。
協会けんぽの保険者は「全国健康保険協会」1つですが、各都道府県に支部があり、保険料率は都道府県ごとに設定されています。
協会けんぽの発表によると、2023年度の保険料率の最高は佐賀県(10.51%)で、最低は新潟県(9.33%)です。

2020年3月末時点の加入者数は4,044万人(被保険者2,479万人、被扶養者1,565万人)で、日本では最も規模が大きい保険者となります。

特定被用者保険

特定被用者保険は、公務員、教職員、船員とその家族が加入対象となっている医療保険です。

特定被用者保険には、国家公務員が加入する「国家公務員共済組合」、地方公務員が加入する「地方公務員共済組合」、私立学校の教職員が加入する「私立学校教職員共済」と、船員として船舶所有者に雇用されている人が加入する「船員保険」があります。

国家公務員共済組合には、衆議院や参議院、総務省等の省庁、裁判所等の20組合、地方公務員共済組合には、地方職員共済、公立学校共済、警察共済、各都道府県の市町村職員共済等の65組合があります。
私立学校教職員共済は、日本私立学校振興・共済事業団が運営しています。

船員保険は、1940年(昭和15年)の創設以来、国が保険者となっていましたが、2010年(平成22年)から全国健康保険協会が保険者になりました。
全国健康保険協会は協会けんぽの保険者でもありますが、協会本部に船員保険部が設けられ、協会けんぽ事業とは経理を区分しているとのことです。

各共済組合の保険料率は、基本的にそれぞれの共済組合が独自に設定することができます。

2. 国民健康保険(市町村国保)

国民健康保険は、自営業や非正規雇用で働く人、無職の人等、被用者保険に加入していない人を対象とする保険で、保険者は市区町村です。2020年3月末時点で保険者数は1,716、加入者数は2,660万人(1,733万世帯)です。

国民健康保険には被扶養者という概念はありません。
また、国民健康保険の保険料は世帯主が支払うことになっており、世帯主本人が国保に加入していなくても同一世帯に国保の被保険者がいれば、世帯主に支払い義務があります。

国民健康保険の保険料率は市区町村によって異なり、保険料の算出方法もそれぞれの市区町村で違います。

3. 後期高齢者医療制度

後期高齢者医療制度は、75歳以上の人と、65歳以上で一定の障害があると認定された人を対象とする医療保険制度です。2008年(平成20年)から始まった制度で、都道府県単位で全市町村が加入する広域連合が運営を行っています。

保険料は、都道府県ごとの広域連合によって決められるため、地域差があります。

まとめ

健康保険にはいくつか種類がありますが、日本国民であれば必ずどれかに加入しています。
自分がどの健康保険に加入しているかは保険証を見れば確認することができます。もし、就職や退職などによって元の健康保険の加入資格を失う場合には、切り替えを忘れないようにしましょう。

そして、生きていくうえで病気や怪我のリスクは誰にでもありますが、個人の心がけで回避できることもあると思います。
健康を維持することは、本人や家族などまわりの人にとって喜ばしいことであると同時に、医療費を抑えるという点で健康保険制度にとっても望ましいことであると言えます。

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