2024年がはじまって、早くも1ヵ月以上が経ちました。
いわゆる「2025年問題」まで1年を切っていますが、来年になると起こる問題とは何でしょうか。
厚生労働省によると、2025年には75歳以上の後期高齢者が全人口の約18%になると推計されています。
一般的に、人は高齢になれば病気やけがへのリスクは高くなるので、高齢者の増加に伴って医療や介護サービスへの需要が拡大することは容易に推測できます。それらに関わる公費負担は増加するのに対して、労働力人口が減ることで税収は減少するなど、医療・福祉・雇用等、さまざまな分野に問題が発生すると考えられているのが「2025年問題」です。
ちなみに2025年問題に関しては「団塊の世代と言われる1947(昭和22)年~1949(昭和24)年生まれの人が、全員75歳以上になる年」と書かれているのをよく見ますが、厳密に言えばその世代が75歳以上になるのは今年、2024年です。
それはさておき医療分野においては、2025年問題へ向けて「地域医療構想」という政策が推進されています。
地域医療構想とは、2014(平成26)年に制定された「医療介護総合確保推進法(正式名称:地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備に関する法律)」によって制度化されたもので、超高齢社会にも耐えられるよう、地域ごとに効率的で不足のない医療提供体制を構築することを目的としています。
現在の日本は間違いなく超高齢社会ではありますが、高齢化(高齢者人口の増加)には大きな地域差があります。
地域医療構想が実現すれば、限られた医療資源をそれぞれの地域でしっかりと活用し、今後ますます進行する高齢化に対応した医療を構築することができると考えられています。
地域医療構想の必要性をしみじみと感じたところで、具体的にはどのような事が示されているのかを確認していきましょう。
地域医療構想は、2015(平成27)年4月から各都道府県において策定が開始され、2017(平成29)年3月末までに全ての都道府県で策定が完了しています。
厚生労働省の地域医療構想のページには、「各構想区域に設置された『地域医療構想調整会議』において、病床の機能分化・連携に向けた協議を実施。」とあります。
協議を実施するために、各医療機関は「病床機能報告」にて、医療機能の現状と今後の方向性を都道府県に毎年報告する義務があります。
「病床機能報告」は、病棟単位でその病棟の病床が担っている医療機能を、それぞれの医療機関の判断で1つ選び、報告することになっています。病床が担う医療機能とは、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4種類です。
各都道府県で策定された「地域医療構想」は、2025年の医療需要と病床の必要量を4つの医療機能ごとに推計し定めたもので、報告された医療機能の現状と比較しつつ、目指すべき医療提供体制を実現するための施策を行います。
ところで急性期や回復期などの医療機能は、各医療機関の判断で選択するとされていますが、どのようにして区別しているのでしょうか。厚生労働省の資料によると、4種類の医療機能の内容は以下のとおりです。
病床機能報告は、病棟ごとに1つの医療機能を選ぶわけですが、実際には1つの病棟に様々な病期の患者さんが入院されていることもあり、その場合は最も割合の多い機能を報告することが基本となっています。
2017(平成29)年3月に全都道府県で策定が完了してから、もうすぐ7年が経過する地域医療構想ですが、現在はどのような状況なのでしょうか。
次回は、そのあたりについて確認してみたいと思います。