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コラム地域医療構想 その(2)現状と今後編

2024.02.21

前回は、地域医療構想のはじまりと概要について紹介しました。
2017年3月に全都道府県での策定が完了してから約7年が経過した現在、これまでの経緯や進捗状況、今後の取り組みについても確認してみましょう。

医療機能ごとの必要病床数

こちらの資料の9ページ目(平成27年6月15日:内閣官房情報調査会資料)によると、2025年の必要病床数(目指すべき姿)の推計結果は115~119万床程度で、機能別に見ると高度急性期13.0万床、急性期40.1万床、回復期37.5万床、慢性期24.2~28.5万床となっています。

一方、2015(平成27)年度の病床機能報告において全国の病床数の合計は125.1万床でした。機能別では、高度急性期16.9万床(14%)、急性期59.6万床(48%)、回復期13.0万床(10%)、慢性期35.5万床(28%)です。
2025年までにあるべき病床数に近づけるには、高度急性期、急性期、慢性期の病床数を減らし、回復期を増やしていく必要があります。

また上記は全国で見た場合の数字ですが、都道府県別に見ると病床数が不足する地域と過剰となる地域があることもわかります(上記資料10ページ目)。
2013年時点における既存の病床数と比較すると、2025年に向けて病床数が不足するのは東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府、沖縄県の大都市部が中心で、それ以外の地域の多くは過剰になるという結果となっています。

これまでの取り組みと成果

2017年度と2018年度の2年間は集中的な検討期間とし、公立・公的医療機関等で先行して医療機能の見直しと再編統合の議論が進められました。

そして地域医療構想実現のための推進策として、2018年10月からの病床機能報告においては定量的基準が導入され、診療実績のない高度急性期・急性期病棟を適正化されるようになりました。
具体的には、これまで医療機能として高度急性期・急性期とされていた病棟のうち、手術や重症患者に対する治療等の実績が全くない病棟3.6万床について、2018年以降は高度急性期・急性期の選択ができなくなりました。

また、地域における機能分化と連携を進めることで、地域全体の医療機能の強化・効率化が促進された構想区域もあります。

奈良県の南和保健医療圏には3つの公立の急性期病院がありましたが、今後の医療需要を考慮し、1つの急性期病院と2つの回復期・慢性期病院に再整備されました。このような機能集約化により、医師一人当たりの救急受入件数が増え、この保健医療圏において顕著だった医師不足が緩和されています。

その他にも様々な取り組みを行ってきた結果、2022(令和4年)年度の病床機能報告において、全国の病床数は119.9万床(2015年比:5.2万床減)、機能別では高度急性期15.7万床(同:1.2万床減)、急性期53.4万床(同:6.2万床減)、回復期19.9万床(同:6.9万床増)、慢性期30.8万床(同:4.6万床減)となっています。

同年度の病床機能報告において、2025年見込については病床数合計が119.0万床とされており、2025年の必要病床数と同じ水準となりました。
ただし、機能別で見ると、高度急性期15.9万床(2025年必要量:13.0万床)、急性期52.5万床(同:40.1万床)、回復期21.1万床(同:37.5万床)、慢性期29.6万床(同:28.4万床)と一定程度の乖離があります。

また、地域医療構想は「地域医療構想調整会議」において対応方針の検討・合意を目指すものですが、第12回地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループの資料によると、2023(令和5)年3月時点において、対応方針の措置済を含む「合意・検証済」の割合が80%を超える都道府県が16府県であるのに対し、「合意・検証済」「協議・検証中」の割合が50%に満たない都道府県が9県あり、取り組みの状況にも地域差が出ています。

今後について

2025年問題へ向けて策定され、推進されてきた地域医療構想ですが、2025年で取り組みが終了するわけではなく、引き続き、都道府県において地域医療構想を推進することになっています。

具体的には、下記のようなPDCAサイクルを通じて理想的な医療提供体制の実現を目指します。

  1. 毎年度、構想区域ごとに目標を設定する
    対応方針の策定率が100%未満の場合には、対応方針の策定率を、すでに100%に達している場合等には、合意した対応方針の実施率を目標とする。
  2. 進捗状況について検証する
  3. 検証を踏まえて必要な対応を行う

まとめ

2025年問題はもう目前ですが、これはまだ序章に過ぎず、状況が更に深刻化する「2040年問題」が控えています。
2040年には、団塊ジュニアと呼ばれる世代が全員65歳以上になることで、日本の高齢者人口がピークを迎えると言われています。

この先、立て続けに問題が迫ってくる時代を迎えていますが、国の政策はもちろん、法人、個人、それぞれができる事を始めて、来たるべき時に備えたいものです。

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