あとひと月足らずで2023年度が終わり、2024(令和6)年度がスタートします。
年度の始まりに新しくなることは毎年いくつかありますが、今年は原則6年ごとに見直される医療計画も改定され、この4月から「第8次医療計画」が開始します。
医療計画にはどんな事が書いてあるのか、そもそも医療計画とは何か、この機会に改めて確認してみましょう。
医療計画とは「都道府県が、国の定める基本方針に即し、地域の実情に応じて、医療提供体制の確保を図るために策定するもの(第545回中央社会保険医療協議会の資料「医療計画について」より)」です。
パッと見ると、前回までにご紹介した「地域医療構想」の説明かと思いそうになりますが、「地域医療構想」は医療計画に記載することになっている項目の一つです。
医療計画は、1985(昭和60)年の第1次医療法改正によって導入されました。
1948(昭和23)年に医療法が制定されて以来、日本の医療体制は、病床の増加など量に関しては相当程度の整備が行われてきたものの、医療施設などの医療資源は地域によって偏りがあり、また医療施設間の連携も十分ではなかったことが、医療計画制度の誕生に繋がる医療法改正に至った背景です。
この改正によって、都道府県に医療計画の作成が義務付けられました。
それぞれの都道府県によって策定される医療計画ですが、上記説明の通り、記載する内容は厚生労働省からの基本方針に沿ったものでなくてはいけません。
第8次医療計画における厚生労働省医政局長通知の「医療計画作成指針」によると、具体的な医療計画の内容は下記の12項目を記載することになっています。
医療計画では、都道府県において二次医療圏、三次医療圏の設定をすることになっています。
「医療圏」とは医療提供のために区分された地域的な単位で、一次医療圏、二次医療圏、三次医療圏の3種類があります。
それぞれの医療圏について、確認しておきましょう。
世の中にはたくさんの病があり、医療分野の事業も様々ありますが、医療計画の中ではとくに、患者数が多く死亡率も高い5つの病気(5疾病)と、地域ごとに対応できる医療施設や医療従事者が欠かせない6つの事業(6事業)、在宅医療を取り上げています。
これらの疾病・事業について現状把握を行い、対策上の課題を見つけ出し、解決に向けた施策と数値目標の設定、それらの進捗状況に対して評価を行うことなどが定められています。
尚、5疾病とは具体的には下記の5つです。
そして、6事業は下記の6つです。
「新興感染症発生・まん延時における医療」は、2021(令和3)年の第9次医療法改正によって、医療計画の記載事項に追加されることになったため、第8次医療計画から追加された項目です。
どんな分野であっても計画を立て、目標に向かって実行していくことは大切です。現在すでに超高齢社会であり、今後も更に高齢化が進むであろう日本の医療に関してはとくに、将来に向けて計画的にやっていく必要があると言えます。
次回は、医療計画の内容についてもう少しだけ詳しく見ていきたいと思います。