前回までに、令和3年12月10日に社会保障審議会の医療保険部会と医療部会において示された「令和4年度診療報酬改定の基本方針」の「新型コロナ感染症(新興感染症等)対応」と「健康寿命の延伸、人生100年時代に向けた全世代型社会保障の実現」について取り上げました。
今回は、基本方針の3つ目のテーマである「患者・国民に身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現」についてご紹介します。
基本方針には「新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機に、我が国のデジタル化の遅れが顕在化した」との記載があります。
例えば、感染拡大の防止に有効とされるテレワークの実践が進まなかったことや、特別定額給付金の給付に係る手続き等の混乱に、日本のデジタル化の現状と課題を強く認識させられました。
また、社会全体としてICT の進歩やデジタル基盤の整備が進んできている背景を踏まえ「 医療分野における ICT の利活用をより一層進め、 電子カルテ 情報 の標準化 など、 デジタル化された医療情報の活用や 医療機関間における連携のための取組の推進等により、質の高い医療サービスを実現していく必要がある」と書かれています。
加えて、新型コロナウイルスの感染拡大により、医薬品・医療機器等の存在意義や創薬力の重要性が改めて注目されていること、
イノベーションの推進による創薬力 ・開発力の維持・強化、医薬品 ・医療機器等の安定供給を通じて、医療と経済の発展を両立させ、安心・安全な暮らしを実現することが重要であると記されています。
これらの事から、「患者・国民に身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現」に関しては、次の具体的方向性の例が示されました。