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News厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(適用猶予業種等対応コース)」をご存知ですか?

2023.05.17

以前の記事でご紹介しましたように、2024年4月1日から「働き方改革関連法」が医師に対しても適用され、時間外労働の上限規制が導入されます。

「医師の働き方改革」施行まで1年をきった今、「働き方改革推進支援助成金(適用猶予業種等対応コース)」2023年度の交付申請受付が開始されました。
このコースは、生産性を向上させ、時間外労働の削減、週休2日制の推進、勤務間インターバル制度の導入や医師の働き方改革推進に向けた環境整備に取り組む事業主を支援する目的で支給されるものです。

今回はこの助成金について、病院等(医業に従事する医師が勤務する病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院を運営する事業主)が確認しておくべき点を見ていきます。

支給対象となる事業主の要件

支給対象となるのは、以下の4項目すべてに該当する施設の事業主です。
それぞれの内容を少し詳しめに確認していきましょう。

1. 労働者災害補償保険の適用事業主であること

1人でも労働者を雇用して事業を行っていれば、労働者災害補償保険(いわゆる労災保険)の適用事業者となります。
ですので、この項目に関しては、ほとんどの施設の事業主が該当していると言えるでしょう。

2. 交付申請時点で、「成果目標」の設定に向けた条件を満たしていること

『成果目標の設定に向けた条件』の前に、まずは成果目標について確認しましょう。

病院等が設定できる成果目標

病院等が設定できる成果目標は、下記の1~3です。このうち1つ以上を選択し、その達成を目指して実施することになります。

  1. 全ての対象事業場において、令和5年度又は令和6年度内において有効な36協定について、時間外・休日労働時間数を縮減し、月80時間以下に上限を設定し、所轄労働基準監督署長に届出を行うこと
  2. 全ての対象事業場において、9時間以上の勤務間インターバル制度の規定を新たに導入すること
  3. 医師の働き方改革推進に関する取組として以下(1)、(2)を全て実施すること

    (1) 労務管理体制の構築等

    1. 労務管理責任者を設置し、責任の所在とその役割を明確にすること
    2. 医師の副業・兼業先との労働時間の通算や医師の休息時間確保に係る協力体制の整備を行うこと
      (副業・兼業を行う医師がいる場合に限る)
    3. 管理者層に対し、人事・労務管理のマネジメント研修を実施すること

    (2) 医師の労働時間の実態把握と管理

    1. 労働時間と労働時間でない時間の区別などを明確にした上で、医師の労働時間の実態把握を行うこと
    2. 医師の勤務計画を作成すること

「成果目標」の設定に向けた条件

どの成果目標を設定するかを選択したら、次は「成果目標」の設定に向けた条件を満たしているかを確認しましょう。

助成金交付の申請書では、選択した成果目標に応じて回答する質問項目が異なります。その回答内容によって条件を満たしているかが判断されるようです。
それぞれの質問は下記の通りです(すべて「はい」または「いいえ」で回答します)

1の「時間外労働の上限設定」を選択した場合
  • 36協定で月80時間を超える時間数を締結している事業場を有する事業主に該当するか
2の「勤務間インターバルの導入」を選択した場合
  • 勤務間インターバルを導入していない事業場を有する事業主に該当するか
  • 既に休息時間数が9時間以上の勤務間インターバルを導入している事業場であって、対象となる労働者が当該事業場に所属する労働者の半数以下である事業場を有する事業主に該当するか
  • 既に休息時間数が9時間未満の勤務間インターバルを導入している事業場を有する事業主に該当するか
  • 交付要綱附則の適用日(令和5年4月1日)以前2年間において、月45時間(1年単位の変形労働時間制により労働する労働者においては月42時間)を超える時間外労働(法定労働時間を超えるものをいう。また、休日労働時間は含まない。)の実態があるか
  • 36協定を締結・届出している対象事業場を有する事業主に該当するか
3の「労務管理体制の構築等及び医師の労働時間の実態把握と管理」を選択した場合
  • 36協定を締結・届出している対象事業場を有する事業主に該当するか
  • 次のアからウの全てに該当する事業場を有する事業主に該当するか
    1. 労務管理責任者を設置しておらず、かつ責任の所在とその役割を明確にしていない事業場
    2. 医師の副業・兼業先との労働時間の通算や医師の休息時間確保に係る協力体制の整備を行っていない事業場(副業・兼業を行う医師がいる場合に限る)
    3. 労働時間・労働時間でない時間の区別、宿日直許可の有無による労働時間の取扱い、医師の副業・兼業先の労働時間の取扱いなどが明確になされていないなど、医師の労働時間の実態把握が実施されていない事業場(宿日直について、所轄労働基準監督署長の許可を得ている場合など、労働時間の実態把握が実施されているとみなされる場合はこれに該当しない)

3. 全ての対象事業場において、交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備していること

労働基準法の改正により、2019年4月から有給休暇の取得が義務化されています。
就業規則への規定も必須であり、違反すると罰則が科されるため、この項目についても原則すべての施設の事業主が該当していると思われます。

4. 常時使用する労働者数が300人以下もしくは資本金または出資額が5,000万円以下の病院等であること

この助成金は中小企業事業主を対象としていますので、規模の大きい施設等は対象外です。

支給対象となる取り組み

助成金の受給には、下記9項目のうちいずれか1つ以上を選択して実施する必要があります。

  1. 労務管理担当者に対する研修
  2. 労働者に対する研修、周知・啓発
  3. 外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など) によるコンサルティング
  4. 就業規則・労使協定等の作成・変更
  5. 人材確保に向けた取組
  6. 労務管理用ソフトウェアの導入・更新
  7. 労務管理用機器の導入・更新
  8. デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
  9. 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新

※研修には、勤務間インターバル制度に関するもの及び業務研修も含みます。
※原則としてパソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません。

働き方改革推進支援助成金(適用猶予業種等対応コース)についての詳細はこちら

おわりに

医療現場で尽力されている医師が、過重労働等によって健康を害し、働けなくなってしまっては国民全体にとっての損失です。とは言え、医師の労働環境改善への取り組みを実行するのは容易ではありません。

D&Mカンパニーでは、医療現場での経営改善実績のあるスタッフが、実態把握を行い、改善のためのプラン作成から実行までを責任をもって担当いたします。

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