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コラム日本の医療機関経営の現状とは

2024.01.17

これまで3回にわたり(1回目2回目3回目の記事はこちら)、日本の国民皆保険や医療制度のしくみについて見てきました。
国際的にも高く評価されている日本の医療を支えているのが、病院などの医療機関です。私たちが不意に病気やケガに見舞われたとき、頼りになるのは病院やクリニックであり、私たちの生活になくてはならない存在であると言えます。

以前の記事でも触れたとおり、日本の国民医療費は増え続けているので、医療サービスを提供する側の医療機関は安定的な収益が見込めそうに思えます。
ですが実態は全く違っており、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会が行った「医療機関経営状況調査」によると、2023年度(2023年4月、5月、6月)においては約7割の病院が赤字経営となっています。

経営悪化の状態が続けば、倒産する危険性は高まります。病院やクリニックが倒産してしまうと、そこに通院している患者さんにとっては治療を受ける場所をなくしてしまうことになりますし、その近隣で他に医療施設が無いような地域では、住民へ医療を提供する機能が失われてしまいます。

今回は病院などの医療機関が経営上抱える問題について見ていきたいと思います。

医療機関における経営の責任者とは

クリニックや病院などの医療機関には、開設・経営の責任主体である「開設者」と、医療の安全確保などについて責務を負う「管理者」が存在します。そして医療法では、管理者は医師が務めることが定められています。

個人開設のクリニックの場合、開設者と管理者は同一でなければならないので、経営責任者は原則、医師が務めることになります。
医療法人の開設者は法人ですが、代表者である理事長は医師でなければならず、理事長が経営を行うケースが多いと思われます。

ただ、医師として優秀な人が、経営者としての能力まで兼ね備えているとは限らないのではないでしょうか。

一般の企業であれば、業績を向上させるために業務の効率化や組織の改善などの経営努力を行いますが、それらが医療機関において行われることはあまり多くないようです。

営利を目的とする病院やクリックの開設は医療法で認められていないため、利益を得ることが目的である一般企業とまったく同じように考えてはいけないのかもしれませんが、組織を安定的に運営していくための対策や改革は、医療機関にとっても必要です。

経営課題を抱えた多くの病院やクリニックにおいては、財務施策や組織変革によって改善する余地が大いにあるのではないでしょうか。

診療報酬制度と改定への対応

こちらの記事でもお伝えしましたが、日本の医療機関で提供される医療サービス(保険診療)の価格は国によって定められていて、それぞれのクリニックや病院で独自に報酬金額を決めることはできません。

また、2年に一度行われる診療報酬改定において、社会情勢に合わせた価格の変更がなされますが、近年では診療報酬改定によって医療機関経営が厳しくなっていく傾向にあるとのことです。

一般企業にとっても、自社サービスの値段を自由に決められない状態で利益を出し続けることは、とても難しいと言えます。
その点から考えても、この診療報酬制度が医療機関の経営に大きく影響を与えることは確かです。

ですが、これらの価格改定などに適した対策を行うことで、業績を上げることも可能です。
これからの医療機関経営にとって重要なことの一つは「変化する状況への適切な準備と対応」を、院長や理事長などの経営者がきちんと判断して行っていくことではないでしょうか。

一旦まとめ

病院やクリニックの経営が抱える問題は、もちろんこれだけではなく様々なものがあります。
ですが経営難に陥ってしまう一番大きな要因は、経営判断だと思われます。
そもそも医療分野の経営者には、業績に対する関心や危機感が希薄な人も多いという現実があるようです。

当社は、医療業界に精通したスタッフによる事業・組織・業務改革コンサルティングを提供している会社です。
経営で先行きに不安を感じていらっしゃる医療機関の経営者や事務長の方は、ぜひD&Mカンパニーにご相談ください。

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